美苑

美苑 コラム Vol.2 オリジナル・トラウマカップ

世界に1つだけの私のカップを作りたい!

私がかつて、1度だけ陶芸教室に行った時の話です。

『自作のカップでコーヒーを飲む』ことに憧れていた私は、
マグカップを作ろうと決めていました。

イメージとしては、秋を感じさせる渋い茶色で、
ホンワカ〜と丸くて、それでコーヒーを飲んだら心が優しくなれる…。
そんな世界に1つだけの私のカップを作りたい!

現物が我が家に届いたのは、1ヵ月後。
私は張り切って、箱を開けました。
ウェルカム!マイカップ!

…梱包を外して、腰が抜けました。

そこにあったのは、焼き栗色の不思議な物体。
マグカップって、こんなに平たくって丸かったっけ?
っていうか、この横についてる半円のヒモは何?(たぶん持ち手)
もはや、マグカップというより、 前衛的なスープカップと言った方が早いでしょう。

作っているときは夢中で気付かなかったけれど、
何という代物が…。

すでにコーヒーを飲む気は失せていましたが、
気を取り直し、カップを箱から取り出してみると、
カップの大きさに対して持ち手が細すぎる(だって、どう見てもただのヒモだし)。
持っただけで、自動的にカップが回転していく始末。
液体を入れたら、確実に30秒でこぼれてなくなります。

何よりも、問題はその色!
グラデーションも何も無い、単色・のっぺりとした焦げ茶色!
コーヒーカップなのにコーヒーを入れても見えないっつーの!
おとなしく白にしておけば、まだ…。

その後、私の中でカップはトラウマと化し、
引越しの際にもこっそり実家に置いてきた始末です。

自分の造形センスの無さは知っていたので、
素敵な作品を作れるとは思っていませんでしたが、
まさか『使えない』ものが出来るとは…。

現在そのカップは、私の実家の人目につかない出窓のすみっこで、
小物入れとして使われているようです。


text:ロゼ